法律家の休暇
2023年12月21日
或スナック弁護士の覚書
- そして、現在においてもスナックプレーヤーとしての活動3を続けております。
- なぜ、私はスナックに行き続けるのでしょうか。
- スナックに魅力があるからです。
- では、スナックの魅力とは何でしょうか。
- 個別の事柄は枚挙にいとまがありません。
- したがいまして、原理論を振りかざすことで突破する運びといたしましょう4。
- 手軽に読める新書を補助線として話を進めます。
- 取り上げる書籍は、玉袋筋太郎『スナックの歩き方』(イースト新書、平成29年)です。
- 同書は、玉袋筋太郎氏によるスナック案内です。
- 具体的な店舗をカタログ的に紹介する体裁ではありません。
- 玉袋氏が、自身の人生、実存とも絡めてスナックの妙味を熱弁する内容です。
- 同書が提示する最重要事項は、スナックという存在の本質論です。
- これは、あとがきにて鮮明に表現されています。
- 過剰にお膳立てされた、同じ匂いしかしない街の中にいてばかりでは生命力の低い弱い人間になるような気がしてなりません。
- 少しドキドキしながら、体験したことは必ず記憶やスキルにつながります。
- そんな経験したくてもできない今の日本において、絶好の経験場所がスナックなんです。(189頁)
- 社会学では、「コンビニ的」なシステム世界と「地元商店的」な生活世界という対立概念があるようです5。
- システム世界におけるコミュニケーションは匿名的・没人格的・単発的であり、生活世界におけるコミュニケーションは、顕名的・人格的・履歴的であると整理されます。
- 上記の「過剰にお膳立てされた、同じ匂いしかしない街」とは、システム社会の別表現でしょう。
- 一方で、スナックは典型的な生活世界の一例といえるでしょう。
- スナックには、酒を飲みに行くわけでも、歌を歌いに行くわけでもありません。
- 画一化、均一化されない一回性の場を体感するために行くのです。
- 総論として語るべきことはまだたくさんありますが、冗長な説明は野暮でしょう。
- あとは黙ってスナックに足を運ぶのみです。
- それでは、いつもの界隈6に集合でよろしいでしょうか。
- 承知いたしました。
- 至高の一回性の場で乾杯を。
令和5年12月21日
弁護士 小川健吾